阿寺山地 阿寺山 (1557.6m) 2012年3月20日  カウント:

所要時間 登り:約3時間、下り:約1時間40分

5:46 赤沢自然休養林−−6:05 平沢橋−−6:08 平沢台(間違った尾根取付)−−6:40 1326m峰−−7:31 1470m峰南を巻く−−8:18 1543m峰−−8:49 阿寺山(休憩) 9:08−−9:29 1515m峰−−9:45 1460m肩−−10:10 1366m峰−−10:30 中立沢右俣/左俣出合−−10:35 平沢橋−−10:49 赤沢自然休養林

場所長野県木曽郡上松町/大桑村
年月日2012年3月20日 残雪期日帰り
天候
山行種類残雪期籔山
交通手段マイカー
駐車場赤沢自然休養林に駐車場あり
登山道の有無正式登山道は無しだが、植林作業道が存在する可能性が高い
籔の有無あり
危険個所の有無無し
山頂の展望無し
GPSトラックログ
(GPX形式)
無し
コメント阿寺山地の名を冠す山頂だが山域の最高峰ではなく、登山目的で登られることはほとんどない超マイナーな山。ネット検索で引っ掛かったのは数行の文章の1件だけでほとんど情報は得られなかった。地域的に残雪の期待は薄いが、赤沢自然休養林に車で入れるようになった3月中旬に決行。計画では中立沢右俣/左俣に挟まれた尾根を往復予定だったが、地形図の平沢橋の位置が実際と異なっていたため尾根を一本間違えて中立沢右俣左岸尾根を登ってしまい、帰りに中立沢右俣/左俣に挟まれた尾根を下る周回ルートとした。

 笹藪はおよそ標高1500m以上で登場。それ以下は檜樹林だが手入れされておらず、細い檜や檜幼木が密集して強固な籔を形成している個所も多く、特に中立沢右俣左岸尾根の標高1350m以上は尾根直上は檜籔で進むのが難しく、南側直下を巻いた。1470m峰西側も強固な檜籔で一度谷に下ってから1543m峰に登り返した。1543m峰は西〜北の展望良好。次の1540m峰までの短い区間のみ刈り払われた作業道あり。西に下っていたので北西の林道とつながっている可能性あり。無雪期はそちらの林道からアプローチした方がいいかもしれない。

 1540m峰から山頂までは笹原だが今回はほぼ雪の下。山頂近辺は檜植林で展望なし。積雪は3,40cmで地形がなだらかなため三角点探索不能。  山頂から東尾根はなだらかで樹林で展望なしのためルートファインディングが難しく方位磁石と地形図と首っ引き。1515m峰がいい目印。これを越えると尾根らしくなるが1470m付近で笹が消えるが檜籔。1460m肩で北に分岐する尾根を見落とさないよう要注意だが目印があってビックリ。1366m標高点先の1350m肩には索道用木製櫓が残っており、ここから北東尾根に乗るが、ここは籔っぽく尾根起点が分かりにくい。その後は明瞭な尾根を辿るが籔無し&踏跡無し。

 尾根末端付近は地形が不明瞭となり、沢出合に達する前に中立沢左俣に出てしまったが、岸近くは傾斜が緩く安全に横移動し右俣/左俣出合へ。心配していた渡渉は石の配置が良好で問題なかった。中立沢右岸を少し歩くと遊歩道に出た。ワカン、アイゼン、ピッケルを持っていったが登場機会はなかった。




開園期日前の赤沢自然休養林 案内看板、中立沢を渡る橋が取付点(のはずだった)
中立沢沿いの遊歩道を歩く 中立沢を渡る平沢橋。しかし地形図と位置が違っていた
平沢橋を渡った先が平沢台。ここから尾根に乗った 尾根取り付き
目印あり 道は無いが籔も雪も無く快適に登る
檜植林が続く
1326m標高点より先の尾根上は檜籔状態 標高1370m付近で北側斜面が幼木で開ける
幼木帯から見た北ア。lこんなところからでも意外に良く見える
1470m峰を南から巻く 巻いている最中
やがて檜幼木籔が酷くなり下へ 谷が近づくと籔が落ち着く
今度は北斜面を登り返す 残雪が無かったら結構な籔かも
標高1500m付近で笹藪が登場
1543m峰から見た北ア(クリックで拡大)
1543m峰には刈り払われた道があった。たぶん西の林道から
1543m峰から見た阿寺山地西部(クリックで拡大)
1540m峰で道は西に下り尾根上は笹藪 1500m鞍部への下り。雪が無い
まだ下る 1500m鞍部付近
登り返す 阿寺山への最後の登り。道があるのか?
阿寺山山頂。何となく作業道がありそうな風景 山頂から東に下り始める。平坦でルート難しい
稜線上はこの目印が目立った 1550m峰
1550m峰から下る。ここも広くてルート判断難しい 登りが出てくればその先が1515m峰
1515m峰 1515m峰寄り1460m平坦尾根を見る
樹林の隙間から見た中ア 1470m付近で檜幼木籔に突入
桧のジャングル 1460m平坦尾根を東に進む
尾根が北に分岐するピークに目印あり 植林だけあって最近でも人が入っているようだ
北に下る。ここで籔は消える 歩きやすい尾根が続く
1360m肩手前で少し籔っぽくなる
1360m肩の索道やぐら 北西の尾根に乗る
目印登場 踏跡がありそうで無い
尾根末端近くで残雪登場
尾根末端手前で中立沢に出た。飛び石がいい具合 中立沢右俣左俣出合
降り立った場所。作業道がありそう 対岸は遊歩道並みのいい道
往路の遊歩道に出た 下ってきた道の入口はロープが張られていた
森林鉄道の線路 駐車場着。なぜか大型バスが


 阿寺山地の盟主は最高峰の小秀山と言っていいだろうが、山地と同名の阿寺山が存在する。標高は1500m強で長野側に飛び出した目立たない山であり、ネット検索では1件だけヒットしたが詳細情報は無く、南側から沢を伝って登り、山頂付近は猛烈な笹藪だということだけ分かった。超マイナーな山だが、この山域全体がそうであるように檜の植林が広がって前人未到とは反対の山であろう。ただし、人が入るのは植林の時だけで、その後は手入れが充分に行き届かずに地面付近は笹と灌木に覆われた籔というのがこの山域のパターンだ。

 阿寺山登山の前哨戦として登った台ヶ峰や真巣山の経験からして、標高1300mを越えると尾根直上や南斜面は笹で覆われている可能性が高く、標高1500mくらいにもなれば井出ノ小路山、三国山、高森山並みの強固な笹藪の可能性もある。そう考えると南側からのアプローチは避けるべきで、笹の薄い北側からアタックするのが良策だろう。地形図を見ると山頂北東側に「赤沢自然休養林」があり、そこまでは車で入れるはずだ。

 山頂までのルートであるが、最短距離は赤沢自然休養林から南西に延びる中立沢が右俣/左俣に分かれた間に挟まれた尾根である。ただ、山頂近辺の地形はなだらかで下りでのルートファインディングが難しいこと、また斜面よりも笹の可能性が高くなること(北斜面ではなく東向きの尾根のため)が難点だ。まあ、登りで目印を残せば大丈夫か。最短距離なので笹藪漕ぎの距離も最短だろう。

 そしてできるだけ笹を避ける意味からも雪がある時期を利用すべきだろうが、赤沢自然休養林は冬季は休園するため道路の除雪もされないはずで、時期が早すぎると車で入れない。幸い、実行2週間前に現場に行って残雪状況を確認、その後の2週間の気温推移で雪は解けたと判断、計画を実行に移すことにした。

 前日は恩田大川入山に登り、清内路トンネルを抜けて中アを抜けて木曾へ入り、上松市街を通過して赤沢自然休養林の案内標識に従って進んでいく。県道と別れて山の北側を回り込んで日当たりが悪い場所に入ったが、前回積雪で覆われていたのがすっかり消えていた。この分なら終点まで行けそうだ。しかし先に進んでいくと日影地帯では路面上に凍結区間も現れるが、それは2,3か所程度で平坦地だったため、2WD車でもスタッドレスなら通過可能だった。夏タイヤだと一度停止したらタイヤが空転してスタートできないだろう。日当たりがいい区間はすっかり雪が解けており、終点の赤沢自然休養林まで入ることができた。まだ開園前で積雪による施設破損等の整備のためか、工事業者が作業中だった。なお、卒塔婆山や西股山方面へ延びる林道分岐入口はしっかりとゲートが締まっていた。駐車場で一夜を過ごしたが、この晩は冷え込んで濡れタオルはカチカチ、2.7リットルのペットボトルの水も凍っていた。

 冷え込みのおかげで雪はカチカチ、路上の残雪上にはスノーシューの跡があるが今は登山靴のままで沈まない。今日の標高を考慮すると山頂部の積雪は大したことはないと予想され、しかも凍って締っているはずなのでスノーシューではなく軽いワカンを持っていくことにした。代わりに凍結個所対策で12本爪アイゼンをザックに入れる。大げさだが手にはピッケル。籔漕ぎの邪魔になるかな。

 中立沢沿いに入る道がどれなのか最初は分からなかったが、一段高い所にある橋がそうであった。道が分かればあとは平沢橋まで進むのみ。このコースは「向山コース」と呼ばれるらしい。ワカン無しでも僅かに踏み抜く個所があるだけで快適だ。でも気温が上がる帰り道はこうはいかないかな。向山コースを進むとやがて直進方向はロープで塞がれ右の橋に誘導される。ここが平沢橋で、中立沢右俣/左俣分岐点のすぐ下流のはずだが太い流れは1本しかない。少なくとも視界の範囲内で上流側でそのような合流部は見えない。橋を渡って対岸を登って下流側に向かうとすぐに小尾根に付きあげ「平沢台」の標識があった。小尾根なのでその向こうは谷になっており、地形図の表記より少ないが水も流れていたため、ここが目的の尾根だと思った。しかし、ここで真面目に地図を眺めていれば・・・・

 ここから尾根に取り付くことにして出発。道は無いが檜樹林で籔は皆無、歩くのに支障は無い。ピンクリボンが結構な数ぶら下がっており、登山者のものか林業関係者のものかわからないが人が入っているのは確かだ。しかし地形図で読めるより傾斜が緩いのが気になる。それに少し登ると小鞍部まで登場、ここは標高1200mの等高線が広がった場所かなぁ。でも尾根は屈曲するし、どうも確信が持てない。しかし傾斜が緩んで水平に西に移動する場面が登場、地形図で1360m肩がまさにそれに該当するのでまずは一安心。しかし出発時に校正した高度計がやや低く出ているのが気になる。しかし水平区間から傾斜が立ちあがると尾根は左に曲がるし、その後に西向きに再び水平区間が出現するし、標高や地形に微妙な差があるが核心部は合致していたので徐々に安心してきた。

 植生は延々と檜樹林が続くのだが、切り株が見られるので大規模に伐採した跡に植林したのは間違いなさそうだが、その後の手入れは全くされていないようで、太い成木に混じってやせ細った木や幼木が多数混じっている。1326m標高点までは籔と言うほどの状況ではなくピンクリボンが続いたが、鳥獣保護区の看板が立った水平区間でリボンが消失するとともに、尾根上は檜の倒木やその下から生えた檜幼木、そして全く間伐されず密生した檜植林が連続するようになり笹藪よりもひどい状況となった。たまらず尾根の南側に逃げたら消えたと思ったリボンが尾根直下南に点々と続いていた。この主も尾根直上の籔に辟易して逃げたのであろう。南斜面は発達した檜樹林で邪魔物はなく歩きやすかった。

 標高1420m平坦地(1460m平坦地と誤認)で北側の植林の背が低くなり展望が開ける。そこには真っ白な穂高の姿が。西穂〜前穂がはっきりと見えた。ここまで来れば山頂もそう遠くはないはずとGPSの電源を入れると山頂までの距離が約1.5km。意外に遠い。そして方向を見てびっくり。ほぼ真西にあるはずが南西を示していた。ここで初めて尾根を間違えたことを認識、地形図を眺めると予定していた尾根の一本北側である中立沢右俣左岸の尾根だったのだ。この先のピークが1515m峰だと思っていたが実際は1470m峰。山頂までは中立沢右俣をU字型に回り込むように進む必要があり、直線距離よりも道のりは長い。この事実の発覚で精神的に大きなダメージを受けたが、時刻はまだ早く、このまま進んだとしても山頂まであと2時間まではかからないだろうから山頂到着は9時くらい。もし同じルートで戻るとすれば下山に2〜3時間、当初計画していた尾根を下るなら往路よりショートカットできるので2時間かからず下山が可能かもしれない。遅くてもお昼には下山できそうなので、このまま山頂を目指すことにした。

 1470m峰は南斜面の傾斜が緩いので山頂を通過せずに南斜面を巻いて通過。この標高になると積雪(新雪)は20cm程度だが良く締ってワカンの出番はなかった。まだ笹は無いが檜の幼木がニョキニョキと生えて、進むに従ってその密度が増して激藪状態になってしまった。今までの状況を考えると上部も同じようだろうと思いきって標高を下げて巻くことにし、籔の隙間を縫って谷へ下った(標高1350m付近)。少しでも尾根をショートカットしようと進路を南にとって檜の斜面へ登り返す。ここも檜成林の下に檜幼木が点在する状況だが、北斜面の影響か密度が低くて支障無し。

 標高が1500m付近に達すると笹が混じるようになり、代わりに檜幼木は急激に数を減らす。やがて地面付近は完全に笹が支配するが、20cmの積雪でも無いよりマシで締って歩きやすい。たまに踏み抜くことはあるがワカンを使うまでもない。半分雪の下の笹藪の真の密度は分からないが、志賀高原の地獄の根曲竹よりはずっとマシそうだった。茎は細く背丈は腰程度だった。

 斜面を登り切って1543m峰に出ると世界が一変する。斜面西側は伐採されて植林されたばかりの低い木しかなく大展望が広がっていた。特徴のない平坦な山域なので山岳同定は無理で、帰ってからカシミールで写真を検証したところ、西側に見えていたのは奥三界岳、井出ノ小路山であった。本来ならば高樽山も見えていただろうが立ち木があって塞がれた角度があり、そこに入っていたのだろう。西股山はギリギリ見えていた。北には真っ白な乗鞍岳に穂高。今日は冬型が緩んで北アもすっきりだ。

 1543m峰も雪に覆われているが、木が無い一筋のルートに僅かに見えている地面から覗く笹が刈り払われている様子から、道が登場したことを知る。もちろん、登山道ではなく植林のための作業道だろう。西から上ってきているが、このピークの北西側の谷筋に林道があるので、たぶんそこが起点だろう。もしかしたら山頂までこのまま道が続くかと思いきや、お隣の1540m峰で西に下ってしまい、南に延びる尾根は雪と笹に覆われていた。でも、この道が本当に林道につながっているとしたら、その林道から1540m峰に上った方が今回私が歩いたルートよりも籔を突っ切る距離は少ないので、阿寺山の無雪期登山には有利かもしれない。たぶん赤沢自然休養林へ至る車道から分岐する林道入口でゲートがあってマイカーは使えないだろうが、あの檜籔の尾根を歩くよりはずっと速いと思う。

 1540m峰から南に延びる尾根は明瞭で、間違える心配は無かった。まるで防火帯のように尾根直上には檜は無く、半分雪に埋もれた笹だけがあったので視界良好なのも大きい。しかし尾根が右に屈曲する付近で植林に突入、地形が緩やかであることもあって視界が限定されると下りではルートファインディングに気を使う。南斜面ということもあってちょっとでも傾斜が増すと雪が消えて笹が邪魔する。でも高さは腰くらいで密度もまだ隙間があり、これなら無雪期でも歩けそうだが。

 1520m峰は雪を利用して東を巻き、最後の阿寺山への登りにかかる。相変わらずの檜+笹+雪の組み合わせであり、この山域はどこまでいっても檜ばかりだ。立ち木の隙間を縫ってジグザグに登っていき、山頂まであと200mほどに達すると立ち木が無い一直線の筋が山頂へと導く。昔の作業道の名残だろうか。野兎の足跡が残る雪を踏みしめて進み、傾斜が無くなってなだらかな最高点に達した。阿寺山山頂だ。

 リボン等の目印がいくつかあるが目立った山頂標識はなく、雪(地面)に突き刺さった杭に「阿寺山」と書かれたものが唯一の山頂標識と呼べそうなものだった。人跡未踏の山頂とは反対で植林された檜林の真ん中で雰囲気がないのが残念だ。でも登山者としてここに立った人はほんの僅かであろう。周囲は檜に覆われて全く展望は無いし、こんな山に登る物好きは滅多にいないのも頷ける。一番目立つリボンは青いもので、山頂から南と東に続いていた。雪に覆われているので踏跡があるのか不明だが、目印の劣化具合からして1,2年以内のものだと思う。登山に訪れたのか植林作業のためのものかは不明だ。陽のあたる場所に座って少々休憩。予定ではAM8時くらいに山頂に達すると考えていたが、尾根を間違えて遠回りになってしまった影響で約1時間の遅れだ。それでもまだ9時だからお昼前には下山できるだろう。

 さて、下山ルートだが安全策でいくのならば往路を戻ること。要所に目印を残したので安全性は高いが、アップダウンがあるしあの檜籔をまた通るのはうんざりだ。当初計画の尾根を使うのが最も距離が短く効率的であるのは間違いないが、問題は尾根末端の渡渉が可能かどうかと、山頂から東へ延びるなだらかな稜線と屈曲する尾根を、目印無しで正確にトレースできるかだ。久々に本格的な読図能力が試される機会だ。私はGPSは持ち歩いているが地図が出ない古いタイプ(etrex venture 英語版 10年以上前の機種)なので、あらかじめ目的地の緯度経度を入れておかないと使えない。今回は山頂と駐車場の2か所の緯度経度だけしか入れていないため、こんな場面では使いようがない。最悪、尾根を外した場合でも東に向かっていれば中立沢右俣か左俣には出るので、帰れないことはない。ただ、沢は滝やゴルジュが登場する可能性があるので、できるだけ避けたいところではある。渡渉に関しては下山時なので最悪靴に浸水しても許容しよう。でもロングスパッツで足元を固めれば1,2秒の「水中走行」なら浸水しないので浅瀬さえ見つけられれば大丈夫だろう。右俣と左俣に分かれているうちは、中立沢で見た水量の半分程度のはずだから、たぶん渡渉可能だろう。リスク要因は朝より雪解けが進んで水量が増えること。

 覚悟を決めて出発。まずは方位磁石で方位を確認しつつ周囲の地形を見て尾根を外さないよう東に向かう。青い目印はどこに行くのか分からないので参考にしなかった。出だしは僅かに北に進路を取り、すぐに東に向かうと主尾根らしき広い稜線の真ん中。無雪期は笹が深そうな。お隣の1550m峰は緩やかでピーク位置は確認できないが、1540m肩から緩やかに下り始めて一安心。進路は北東に変わるがこのまま直進すると尾根を外すので、途中で南東に進路変更する必要があるが、樹林を通して1515m峰を確認することができたので助かった。この1515m峰までがこの尾根で一番難しかった。ガスっていたら正しい尾根に乗れたかどうか・・・。

 笹と檜の1515m峰を越えると進路は北東へ。視界が開けて1460m等高線の東へ延びる尾根がはっきりと目視でき、安心度がますます高まる。今度はルートに間違いなし。なだらかな尾根を下って傾斜が緩むと、それまでの背の高い檜から一変して背の低い濃密な檜籔。笹より厄介な籔漕ぎだ。尾根直上を避ければ籔も回避できるのだが、この緩斜面で尾根中心を外して歩くのはルートミスの大きな要因となるため我慢して籔の中を行く。やがて籔を突破、おとなしい檜樹林に変わる。もう笹は見当たらず、積雪もかなり減った。

 次の関門は1460m肩手前で北に分岐する尾根に乗り換える個所だ。1460m水平区間が結構長く、微妙なアップダウンがあって意外に平坦ではなかった。正確な位置確定のためには尾根の傾斜が出る東端までいってから少し戻るのが確実な方法で、下りになるまで尾根を進んでいく。明瞭なピークをいくつか越えると最後のピークでピンクリボン目印が登場、北に続いていた。ここが怪しいがこのピークの東側に肩が存在するか確認するために空身で下ってみると、確かに肩があってその先は下りになっていた。これでルートに間違いなし。

 檜籔も無く歩きやすい尾根で、目印があるのでこのまま尾根末端までルートファインディング不要かと期待を持たせたが、尾根が傾斜を失って東に曲がり、1366m標高点を越えるとワイヤーロープのかかった丸太が組まれた櫓が登場、索道の跡らしい。やはり、このエリアはその昔に大規模に伐採されたのだろう。この櫓の先で尾根は北東に屈曲するが、その入口は籔っぽく意外に不明瞭で、太いのは南東に下る尾根であり要注意個所だ。もちろん、登りなら間違えることは無い。しばらくは目印もあり道があるように見える木の間隔が広くて歩きやすい尾根であるが、下っていくと倒木や幼木が登場して歩きにくい場所もあった。でも籔漕ぎは無く、無雪期にも使える尾根と感じた。

 尾根末端が近づくと地形図と違って尾根が四分五裂し、主尾根がどこなのか判別困難になる。ただ、地形図を見ると尾根末端は特に東側は緩斜面が広がり、たとえ沢沿いに出てもそのまま高巻きして沢沿いに下れると踏んでいたのであまり気にしない。それに右俣/左俣の合流点より上流で沢沿いに出るのなら沢の水量はもっと少なくて渡渉のリスクも低くなるという利点もあろう。

 結局、正確な尾根末端よりも手前で左俣左岸に出て、そのまま緩斜面を沢沿いに下っていった。予想通り歩きやすくて危険個所は無く、右俣/左俣の合流点、つまり尾根末端に到着した。心配していた渡渉であるが、水量と石の配置の関係で簡単に対岸に渡ることができた。ただし、水流の飛沫で水面近くの石表面はツルツルに凍っているため、比較的大きな石を選んで踏みつけた。雪解け時刻でこの水量なので、大雨の後の増水でなければ渡渉可能だろう。

 対岸に渡ると一面の雪原で遊歩道があるのかないのか不明だが、何となく道があるような感じを受けた。少し踏み抜きがあるがワカンを使うほどでもなく、ほどなく遊歩道に到着、平沢橋であった。私が来た方向はロープが張ってあって間違ってハイカーが入り込まないようになっていた。ここをそのまま直進するのが正解だったのか。でも地図の表記が違っていたのではなぁ・・・。

 遊歩道の足跡は私のものだけであったが、駐車場に戻ると大型バスが1台止まっていた。


補足にヤマレコの記事もどうぞ(PDFファイル。ここをクリック)

 

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